血流改善で腎臓を元気に
人体を細胞レベルで見ると
体を細胞レベルで見ると、約60兆個の細胞からできています。全ての細胞は、酸素を取り入れて二酸化炭素を排出し、アミノ酸やブドウ糖などの栄養を取って老廃物を排出しています。
細胞に栄養と酸素を届けるのは血液であり、二酸化炭素と老廃物も血液によって回収されます。ですから、細胞は血液が届けば健康ですが、届かなければ衰弱し、もし酸素が届かなくなれば10分ほどで死んでしまいます。
つまり、細胞にとって血液は生命線であり、全身の細胞に血液が行き届いていれば人間の体は元気でいることができます。
細胞も生き物、その健康状態はさまざま
細胞は生き物です。生き物は単純に生か死に二分することは出来ません。元気な細胞、疲れた細胞、病気の細胞などがあり、徐々に弱って寝込んだり倒れたりして最後に死を迎えます。
一般的にeGFRが60を切り、腎機能に支障があると診断されたときには、その機能の半分が不全に陥っています。
しかし、腎臓病と診断されたとき、約半分の細胞が死滅し、残りの半分の細胞が元気というわけではありません。細胞は生き物ですから、活発に活動しているものから、瀕死の状態のものまで様々な健康状態で混在しています。
腎臓の機能の回復を図ろうとするならば、弱っている細胞に新鮮な酸素と栄養をたっぷり与えれば、人間と同じように元気を取り戻すはずです。そのためには、腎臓の衰えた血流を活性化することが大切です。
血液が届けば細胞は元気になれる
全身の血流を活性化し、臓器に血液を送りこめば、元気な細胞は今まで以上に元気になり、疲れた細胞は疲労を回復し、病気の細胞も治癒し、瀕死の細胞も息を吹き返すはずです。
そして、疲労しきった腎臓の機能全体が回復してクレアチニンの数値も下がるはずです。
現に、内臓トレーニングでクレアチニンを下げたり、数値の上昇を抑えている人が7割を超えています。
内臓トレーニングが、クレアチニンは下がらないという医療界の常識に反して効果を挙げている理由は、ここにあると考えています。ただし、この考え方は科学的に証明されたものではありません。あくまでも細胞生理学的な見地からの仮説です。
医学の常識は当てにならない
事例1 人体の細胞数について
人体を構成する細胞の数は、従来60兆個とずっと言われ続けてきました。
しかし、近年その数は37兆2000億個という学者が出てきました。これは、2013年に発刊された『人体生物学紀要』(Annals of Human Biology)という雑誌に、イタリアのエヴァ・ビアンコニという生物学者を中心にしたチームが発表したものです。
余りにも最近の発表であるため、医療界で定着した数字ではないので、ここでは従来の60兆個で表記しました。
事例2 透析前の腎臓病患者さんは、筋力アップの運動をした方が良い
今まで、腎臓病患者さんは、筋力アップのような過激な運動は避けるように指導されてきました。
理由は、「筋肉に大きな負荷がかかると、筋肉中にあるクレアチンという物質が消費されてクレアチニンが産生される」からです。
もう一つは、「過激な運動によって、腎臓が必要とする血液が筋肉に集中して腎臓の活動が弱るから」というものです。
しかし、近年、日本腎臓リハビリテーション学会は、『透析前の患者さんは積極的に運動する方が良いと提案している。もちろん、病気を進行させる運動はいけないとしているが、ウォーキングや筋トレなど、ややきつい運動も積極的に行うことを勧めている。運動することによって透析が楽になる』そうです。
詳しいことは日本腎臓リハビリテーション学会のホームページをご覧ください。
このように、医学の世界では、常識として定着している知識やエビデンスに基づいた治療方法などが、一夜にしてひっくり返ることが多々あります。それは、現代医学の進歩が目覚しいとはいえ、心とは何か、どこにあるかに代表されるように、まだまだ人体のほとんどが解明されていないからです。
今以上に医学が進歩すると、腎臓病は治らない、クレアチニンの数値は下がらないという医学の常識が、ひっくり返るときが来るのではないでしょうか。
透析への道から健康な人の老化のスピードに戻そう
人は、生まれ落ちたときから成長し始め、発達、成熟し、一般に30歳くらいから老化が始まります。皮膚にシワやシミが出来たり、視力や聴力が衰えたりして、若かったころにはなかった様々な変化というか症状が出てきます。
この老化現象は外見だけでなく、体内の奥深いところにある臓器にも起こります。胃の場合は、食欲減退や消化力の衰えなど、肝臓の場合は、体力・気力の衰えや疲労回復が遅くなるなどの症状として現れます。
では、腎臓の老化はどうでしょう。
腎臓は30歳くらいから老化が始まります。30歳を過ぎると、腎臓の細胞数が減少してきたり、腎臓に繋がる血管が細くなってきたりして、腎臓はだんだん小さくなって来ます。
このため、糸球体の数が減少して血液のろ過量が減ってきたり、細胞が血液中に排出した尿素窒素やカリウムなどの老廃物の排泄が難しくなってきます。
この結果、かゆみ、むくみ、不眠、だるさ、高血圧など、腎臓病特有の様々な症状が出てきます。
このような老化現象は年をとれば誰にもおこりますが、多くの人は寿命を全うするまでクレアチニン1.0前後を維持し、症状も出ません。
しかし、男性の場合、クレアチニン値1.0、女性の場合は0.7を超えてしまうと、腎機能が人並み以上のスピードで低下し、様々な症状に苦しむことになります。
腎臓の残存機能が多いうちから内臓トレーニングに取り組んで、老化のスピードを天寿を全うする人と同程度に食い止めませんか。
透析を回避するために
腎臓は再生しない臓器であることを自覚する
内臓トレーニングを始めるきっかけで一番多いのが、担当医から「透析になる」「そろそろ透析の準備を」といわれたことです。これといった自覚症状もなく病気が進行していきますので、皆さん突然の告知だと驚き、不安に思われるようです。
協会では、少しでも残存機能が多い(クレアチニン値が低い)うちに、内臓トレーニングを始めることを勧めています。内臓トレーニングの実践者には、来月には透析ですといわれたときに内臓トレーニングをはじめて、5年も透析をせずに過ごしている方もいます。
クレアチニンが4.00を超えていたのに1.90まで下げたという、常識を覆す結果も出ています。
ですが、すべての方に当てはまる事例ではありません。忘れないでいただきたいのは、腎臓は再生しない臓器であるということです。
自覚症状に頼らない
2008年に協会が設立されて以来、年数を重ねるごとに、よく似た状況で内臓トレーニングをはじめる方が増えています。腎臓病の資料請求をし内臓トレーニングのことを知っていた人が、2年、3年後にクレアチニン値が上がったという理由で実践を始めるのです。
なぜ、内臓トレーニングを知った当初に実践しなかったかを聞くと、「まだいいと思っていた」と、どの人も同じ答えが返ってきます。
腎臓病と診断を受けた当初に病気が治らないと言われても、これといった症状を感じることがなく普通に生活できていることが大きな原因です。腎機能が低下することのリスクを実践者の例で説明します。
【Kさん 72歳 男性の場合】
● 2013年7月 クレアチニン値 1.52 eGFR 36.4 内臓トレーニングの資料請求
● 2016年6月 クレアチニン値 2.70 eGFR 19.2 内臓トレーニングをはじめる
Kさんは「腎臓の機能が低下している」とかかりつけの医師から告げられた3年前に、内臓トレーニングのことを知り、資料を取り寄せました。「腎臓病は治らないから、うまく付き合っていきましょう」という言葉が頭から離れなかったそうです。その後も通院するのですが、体調も悪くないため、淡々と年月が経ってしまいました。
ちょうど、内臓トレーニングを始める1ヶ月前に、透析を行っている腎臓内科へ転院するよう紹介状が出されました。透析が目の前に迫っていることに危機感を感じたことが、内臓トレーニングを始めたキッカケでした。
腎臓の残存機能が36%残っているのと、19%しかない状態では、すでに萎縮してしまった細胞の数が違います。内臓トレーニングで腎臓が新品に戻るわけではありません。腎臓自体に体力がなく、老化という避けられない機能低下がある以上、透析になるという不安を解消することは難しいです。
腎臓の残存機能が多ければ多いほど、透析を一生回避することが可能になります。不安なく生活していくために、自覚症状ではなく、血液検査の数値から腎臓の残存機能を把握していきましょう。