自覚症状がない
腎臓病は末期になるまで自覚症状が出にくいため、体調に変化を感じて受診した時には、かなりクレアチニン値が高かったということがよくあるようです。
健康教室に参加される方の様子を見ると、何かしらの症状は出ているのですが、じわじわと進行する病気なので気がついていない人がほとんどです。高熱が出たり痛みが出るのとは違い、生活に支障が出るほどの症状ではないので、血液検査の数値で腎臓の状態を把握していくことが大切です。
高血圧
腎臓には血圧を調整するという役割があり、腎臓病になると調整がうまくできなくなります。そのため高血圧になり、まず降圧剤を処方される方が多いようです。また他の原因で血圧が上がり、腎臓病になった方もいます。
毛細血管の塊である腎臓は、高血圧に耐えられないということで、血圧を下げる治療が行われるのが一般的です。ただ、血圧は血液を循環させるために必要な圧力なので、下げすぎても良くありません。薬が適量か、効きすぎていないか、自分で血圧のチェックをすることが必要です。
疲れやすさ・だるさ
尿検査でタンパクが多く漏れていると、体を維持するだけの栄養が不足して、だるさを感じることがあります。
また、腎臓が調整している電解質のバランスがくずれると、疲れなどの不調が現れます。
一番よくないのは、血液中に毒素である尿素窒素が増えることです。汚れた血液が全身を巡るので、他の臓器にも影響が出て体力の低下を感じるようです。
むくみ
腎臓の機能が低下して体液量の調節がうまくいかなくなると、体がむくんでしまいます。
特に足から症状が出る方が多いのですが、下半身に溜まった水分を上半身に上げることができず起こりますので、血液循環が上手くできていないという証拠です。
重篤になると、肺や心臓にまで水が溜まってしまいます。
痛風
血液中の尿酸量が多くなると、溶けきれないものが結晶化してしまいます。結晶が大きくなると血管を詰まらせる原因になり、毛細血管の固まりである腎臓では目詰まりを起こし、機能低下を速めてしまいます。
足の指や足首、膝などの関節に結晶が溜まると、激しい痛みを伴う痛風発作が起きます。その名の通り「風が当たっても痛い」と表現されるほどの痛みなので、皆さん病院に駆け込みます。
抗炎症剤や鎮痛剤が処方されるので症状は治まりますが、この薬が腎臓に大きなダメージを与えてしまいます。
尿毒症
腎臓の毒素排出機能が衰えると、血液中に尿毒素、つまりタンパクの残りカスである尿素窒素やそのほか様々な毒素が残ってしまいます。「尿毒素」が身体中に溜まってしまうと、細胞・臓器が正常に働けなくなり、最終的には生命の危機に陥ります。
初期症状としては、「疲れやすい」「だるい」「思考力の低下」「むくみ・浮腫」などが挙げられます。
症状が進むと消化器系、神経系、循環器系の臓器や、筋肉、皮膚にまで、要するに全身に症状が出てきます。この段階になると、透析の導入が検討されます。
骨粗しょう症
腎臓はビタミンDの活性化など体内のカルシウムバランスの維持に大きく関わっているため、症状の進行とともに骨障害も増加します。
特に透析患者では約30%の人に骨障害の症状がみられるというデータがあります。
結石
腎臓などにできるシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムなどのかたまりのことです。腎臓から細い尿管へ移動すると(尿管結石)、激しい激痛がおこります。ただ、結石が腎臓にある間はほとんど痛みがないので、注意が必要です。
結石が大きくなると腎臓障害や排尿障害が起こるため、尿がすっきり出ない感じがしたり、残尿感があっったり、血尿が出ることがあります。